48年前、明治大学の山岳部が白馬(はく・ば)で入部歓迎の合宿をした。数十名の新入りで最初にバテたのは、小柄な農学部生だった。よく転がるのでドングリのあだ名がつく。後に、世界で初めて五大陸の最高峰すべてに登頂する植村直己である▼
48年前,明治大学的登山协会在白马举行了欢迎入会的同住活动。数十名新入生中最先累倒的是个子矮小的农业学部的学生,因为经常会跌倒被人起了团粟的外号。他就是后来第一个登上五大洲所有最高峰的植村直已。
合宿(あいやど):同じ宿屋または部屋に他人と泊まり合わせること。また、その人。同宿。
ばてる:動けなくなるほど疲れる。「暑さに―・てた」
〔「果てる」の転か。もと、スポーツや競馬で用いられていた語。昭和30年代以降、一般にも用いられるようになった〕
小柄(こがら):(1)普通の人より身体が小さい・こと(さま)。「―な選手」
(2)着物などの模様や縞が細かい・こと(さま)。「―な絣(かすり)」
綽名(あだな):〔「あだ」は他・別の意〕
(1)本名のほかに、その人の容姿・性行などの特徴をとらえてつけた別の名前。愛称や蔑称としてつけた名。ニックネーム。「―をつける」
(2)別の名で呼ばれること。「南海の竜と―される男」
偉人といえども、宵(よい)から輝いた星ばかりではない。卒業後、山登りの資金を作りに渡米した植村は心で叫ぶ。「仕事を見つけるまではキュウリでも食べて金を節約するぞ!」(『青春を山に賭けて』文春文庫)。巻き返しの力は、楽観と負けず嫌いらしい▼
即使是伟人,也不是从一开始就会闪闪发亮的星星。毕业后,为了筹集登山的资金,远渡赴美的植村在心底暗暗努力,“为了省钱,到找到工作为止,就只可以吃黄瓜”。(用青春赌山峰)文春文库。努力反击的力量,正是乐观和不服输的精神在支持。
渡米(とべい):アメリカ合衆国へ行くこと。
巻き返す(まきかえす):(1)劣勢の状態から勢いを盛り返して反撃に転ずる。「試合の後半に―・して勝利を得る」(2)巻いてあるものをいったん広げて、もとのように巻く。巻き直す。巻き戻す。
社会に出て間もなくひと月、しかられ続きの新人もいよう。落ち込むことはない。東北楽天の野村克也監督が、毎日新聞で「どうでもいいやつはしからない」と語っている。これは主力選手との接し方だが、若手へのぼやきも期待の表れだろう▼
有些进入社会工作不到一个月的新人经常被人批评。但是不应该气馁,东北乐天的野村克也导演在每日新闻中曾经说过他是“不会批评那些随随便便应付差事的人”的。这是接替主力的一个方法,对新手的埋怨实际也是期待的另一种表现。
ぼやく:不平・泣き言・愚痴などを言う。「安い給料を―・く」
駆け出し記者の頃、公衆電話でひとしきり怒鳴られたことがある。理由は忘れた。受話器を離して聞き流していたら、背で「なに怒られとるん」と声がする。下校の小学生が心配そうに見上げていた▼
当记者到处跑的时候,曾经经历过在公共电话里被人大声诉责的事。忘记是因为什么了。把话筒拿离耳朵在背后小声说,‘到底是因为什么生气’的时候,放学的小学生很担心的样子看着我。
一頻り(ひとしきり):しばらくの間盛んに続くさま。ひとっきり。
聞き流す(ききながす):聞いただけで心にとめない。聞いただけにしておく。
見上げる:(1)下から上を見る。仰ぐ。「空を―・げる」 (2)立派だと思う。⇔見下げる
いま思えば、新社会人に「どうでもいいやつ」がいるはずもない。戦力と見込まれて飛び込んだ職場である。失敗が許されるうちに遥(はる)か千里の道を描き、遠慮なく大股の一歩を踏み出せばいい▼
现在想想,新人也不应该‘随便怎样都好’。在职场上要是靠自己的能力进取的。允许失败的过程中,也要考虑自己以后的道路怎样走,然后大步的踏出向前努力。
大股(おおまた):(1)両足を広く開くこと。 (2)歩くときの歩幅が広いこと。⇔小股(こまた)
飛び込む:(1)身を躍らせて中に入る。おどりこむ。「海に―・む」
(2)急いで中に入り込む。「にわか雨を避けて喫茶店に―・む」「窓から鳥が―・んでくる」
(3)自分から進んで、ある事柄に関係をもつ。「平和運動に―・む」
(4)思いがけない物事が突然目や耳に入る。「号外の赤字が目に―・んできた」「旅客機墜落の報が―・んできた」
さて、みじめな白馬合宿から戻ったドングリ植村。一念発起し、毎朝6時起床で9キロの山道を走り始める。道は世界的な冒険家へと続いていた。黄金週間に休める人ばかりではなかろうが、キュウリなどかじりつつ、五大陸を制する順番でも練ってほしい。
再让我们回到白马同住时的可怜的团粟植村。因为生起了这样一个念头,开始每天六点起床,爬9公里的山路。开始了向世界冒险家的道路。黄金周期间并不是所有的人都可以休息,一边嚼着黄瓜,一边向着目标,征服五大陆的山峰而努力着。
惨め(みじめ):〔「見じ(=見タクナイ)」に「目」の付いた形から〕見ていられないほどあわれなこと。なんとも情けないこと。また、そのさま。「敗戦後の―な生活」「―な思いをする」「見るも―な姿」
惨めを見る:あわれな体験をする。ひどい経験をする。
齧る(かじる):(1)かたいものの一部を、少しずつ歯でかんで削り取る。「リンゴを―・る」
(2)ある分野の勉強を始めてすぐにやめてしまう。「ロシア語を少し―・りました」