よその国の文物(ぶんぶつ)や産品が自分の国にあふれる。そんな様を快く思わない向きが、昔からいたらしい。『徒然草』の兼好法師は鎌倉時代に、「唐(から)(中国)から来るものは、薬のほかは、なにもなくても事欠かない」と息巻いている▼
很久以前,就有人对于其它国家的文物或者产品在自己的国家里到处可见会感到不愉快。‘徒然草’中的兼好法师在鎌倉時代就曾经扬言“从中国传来的东西,除了药品以外,没有什么是不可或缺的。”
事欠く: (1)必要なものがないために不自由する。「日々の米にも―・く生活」
(2)(「…にことかいて」の形で)もっと適切なやりようがあるだろうに、よりによって…する。事を欠く。「言うに―・いて卑怯者とはけしからん」
息巻く:(1)息づかいを荒くして怒る。「ただではおかないと―・く」
(2)勢い込んで言う。「必ず勝つと―・く」
(3)勢力をふるう。「大后の坊の初めの女御にて―・き給ひしかど/源氏(若菜上)」
「用もない物を所狭しと積んで、唐からの危ない海路を渡ってくる。愚かもいいところだ」と手厳しい。兼好法師がいまの世に立ち現れたら、暮らしにあふれる中国製品の多さに、腰を抜かすかもしれない
兼好法师曾很严厉的说:“装满了没有用的东西,从中国远渡重洋来到日本,可以说是蠢笨之极了。”如果他生活在现代的话,也许会吃惊于生活中到处都充斥着中国的产品吧。
所狭し(ところせし):(1)空間を物が占めていて、場所が狭い。いっぱいだ。残された余地が少ない。「屯食(とんじき)、禄の唐櫃どもなど、―・きまで/源氏(桐壺)」
(2)精神的に窮屈だ。気づまりだ。「(天皇トイウ)よろづ―・き御ありさまよりは、なかなか安らかに/増鏡(おどろの下)」
(3)堂々としている。重々しく立派である。「いで給ふ気色―・きを、人々端に出て見奉れば/源氏(紅葉賀)」
(4)おおげさだ。仰山だ。大層だ。「ただ近き所なれば、車は―・し/堤中納言(はいずみ)」
(5)扱いにくい。めんどうだ。難儀だ。うっとうしい。「雨降り出でて―・くもあるに/源氏(末摘花)」
手厳しい(てきびしい):遠慮や気遣いなしに相手に対応するさま。手加減がない。容赦ない。「―・い批判」「―・くはねつける」
▼その中国から胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が来日し、首脳会談が開かれた。「チ ベッ ト」「ガス田」、それに「ギョーザ」が3点セットである。日ごろは他人事(ひとごと)節の目立つ福田首相も、ギョーザには「断じてうやむやにできない」と強い言葉を繰り出した
中国国家主席胡锦涛来日访问,招开了首脑会议。就“西X藏问题”,“石油田问题”,及“饺子事件”进行了商谈。平日总是‘事不关已’的福田首相,就‘饺子问题’也持强硬态度,决不能就这样简单了事。
断じて(だんじて):(1)(下に打ち消しの語を伴って)けっして。「―そんなことはあり得ない」
(2)決意を固めて行うさま。どんな困難にも負けず。断固として。「―行う」「―勝つ」
有耶無耶(うやむや):(1)〔有るのか無いのかはっきりしない意から〕物事がはっきりしないままである・こと(さま)。あいまい。「―にしておく」「事件は―のまま忘れ去られた」
(2)もやもやしたものがあって胸がすっきりしない・こと(さま)。「胸は―乱れ居たるに/宝の山(眉山)」
▼日本人の「もっと安く」「もっと便利に」を、中国からの産品が支えている。会談の結果は、だが「安心」からは遠かった。上野動物園のパンダの貸与では、打てば響く返事があった。ありがたいが、おいしい前菜で、主菜の苦みがうやむやになった印象は残る
中国的产品维持着日本人“更便宜”,“更便利”的生活。但是会谈的结果,却离‘让人放心’还很遥远。关于上野动物园的熊猫租借一事,当时便有了结果。虽然很感激中国此举,但是总有点前菜好吃,主菜却有些发苦的感觉。
打てば響く:すぐ、その反応・効果が現れる。「―・くような返答」
▼胡主席は、この訪日を「暖かい春の旅」と呼んだ。去年4月の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は「氷を溶かす旅」だったから、季節は深まった。だが日中は、歯車が狂えばたちまち寒の戻る不安定さを抱える。未来志向のつぼみを、しぼませてはなるまい
胡主席称此次访日为‘暖春之旅’。去年4月的温家宝总理的‘冰溶之旅’相比,季节更温暖了。但是中日关系,仍然处于一种不安定的状态,如果不能顺利发展,便会重返严寒。
歯車が狂う(はぐるまがくるう):順調に進んでいたことがうまくいかなくなる。
忽ち(たちまち):(1)物事が短時間内に行われるさま。またたく間。「―売り切れる」「―(に)消える水の泡」「―のうちに問題を解決する」「一年なんて―だね」
(2)突然起こるさま。にわかに。急に。「―起こる突撃の声」
(3)(多く「に」を伴って)現に。ただ今。「我が身―に不浄にあらずといへども、思へば、また不浄なり/今昔 6」
▼ところで兼好法師の憎まれ口は、渡来品(とらい)ばかりありがたがる風潮への皮肉でもあった。なのに文末で、「遠き物を宝とせず」と、中国の古典から引いて、戒めている。切っても切れない彼我の歴史が垣間見える。
兼好法师的话,不仅仅是对外来货,而且也是对这种风潮的一种讽刺。尽管如此,却在文章的末尾引用中国的古典‘不宝远物’为戒。由此可以看到两国间的无法切断的历史。
憎まれ口:人に憎まれるような口のきき方や話し方。「―をたたく」「―をきく」
垣間見る(かいまみる): (1)ちらっと見る。「音楽会で―・みた麗人」
(2)事態・物事のわずかな面を知る。「その言動に彼の実力の一端を―・みる思いがした」
(3)物のすき間から、こっそりとのぞき見る。「女、男の家にいきて―・みけるを/伊勢 63」
〔(3)が原義〕
posted on 2008-05-09 10:45
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