2008-05-14 天声人语原文

札幌を訪れた。市の木、ライラックが平年より半月ほど早い盛りを迎えていた。房をなす紫のつぼみと淡紫の花。リラと仏語で呼びたくなるような、すました芳香が、日だまりにたたずむ。街で最古の株は北大植物園にある。明治期に米国渡来の苗を分けたもので、大きさも一番という▼

一夜明け、寒が戻った。これも「リラ冷え」というのか、大小にかかわらず、ライラックは寂しげに小雨の中だ。包まれる空気によって、植物は風情を変える。これが、感情を備える生物ともなれば、その面持ちは一刻として同じではない▼

リラ冷え:http://pucchi.net/hokkaido/knowledge/lilabie.php

瞬時の表情を切り取る肖像写真の魅力を、東京駅前で堪能した。創刊20周年を迎えたアエラが、表紙を飾った著名人のパネルを丸の内一帯に展示している(無料、6月8日まで)▼

坂田栄一郎さんが撮り下ろしてきた作品群は約830点。拡大され、雑誌とは別物の迫力だ。通常、坂田さんは100枚は撮るが、これだというのは「本当に1枚か2枚」だと聞く▼

「本田宗一郎っていえば、顔は一つだと思ってたけど、こうやってみると、色々あるね」。19年前、ホンダ創業者が撮影中にもらした感嘆だ。2カ月後に登場した老優、笠智衆は「随分ね、年はとってはいるけれど、いざ写すとなると上がっちゃうの。僕はね、映画を撮る時でも上がっちゃうの」と照れた▼

各人の所作や口ぶりを、リラの香気のように、ふんわり漂わせた写真がある。とりわけ故人である。自負に満たされた顔つき、いわば「旬の瞬」が、その前後に連なる生までを呼び寄せる。

posted @ 2008-05-16 15:25 dolphin 阅读(45) 评论(0)  编辑  收藏 网摘收藏

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