男が取り押さえられ、横たわる道端(みちばた)の看板に「激安商品大量展示」とあった。近くのビルの劇場では、女性アイドルグループが公演中だった。日本の消費経済とオタク文化を象徴(しょうちょう)する街「AKIBA」での惨劇である
▼日曜日の昼、東京・秋葉原(あきはばら)を襲った殺傷(さっしょう)事件。のんびりと始まった電気街の歩行者(ほこうしゃ)天国で、7人が亡くなり、10人が重軽傷(じゅうけいしょう)を負った。逮捕された男(25)は「人を殺すために秋葉原に来た」と語ったそうだ。魔が差した、のではないらしい
魔が差す
悪魔が心に入りこんだように、ふとふだんでは考えられないような悪念を起す。
▼まじめで無口という派遣(はけん)工員(こういん)の中で、何が爆発(ばくはつ)したのか。静岡(しずおか)県内でトラックを借り、ナイフを携えて(たずさえる)東名(とうめい)高速に乗る。「無差別計画殺人」の暴走(ぼうそう)に、停車(ていしゃ)やUターンはなかった
▼男は3日前から、携帯サイトで犯行をにおわせて(におわせる)いた。当日には秋葉原と予告し、行動や心境(しんきょう)を約30回も書き込んでいる。「人がたくさんいる」と選ばれた街の、その日その刻。南北(なんぼく)にゆったり流れる人波を、西から東へと殺意が切り裂いた(きりさく)。両者が交わる(まじわる)四つ角(よつかど)に、犠牲者(ぎせいしゃ)は居合わせた(いあわせる)
▼男は「世の中が嫌になった」「生活に疲れた」と漏らした(もらす)という。このご時世(じせい)、仕事の悩みや日々の暮らしに押しつぶされそうな人は、いくらもいる。目をこらしても【凝らす】、そこから17人殺傷に至る線が見えない
▼「誰でもよかった」とうそぶく【嘯く】者は、どの「誰」にも懸命な人生があり、大切な人がいることに思いが及ばない。それでいて、身勝手(みがって)な「計画」を冷めた(さめる)文字(もじ)列(れつ)で誇示(こじ)し、実行に移す。他者への鈍感(どんかん)と、自己愛(じこあい)との途方もない落差に、ただ慄然(りつぜん)とする。
途方もない1((道理に合わぬ)) 2((とてつもない))
posted on 2008-06-10 20:33
hjtutu 阅读(37)
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