電話
正しい言葉使いは、ビジネスシーンなどでの人間関係を円滑にする大切な要素。敬語はぜひ押さえておきたい。
次の敬語には誤りがある。適切な言い方に直してチェックしてみよう。
1.
(発信) 高木ですが、松本さんをお願いします。
⇒
「高木ですが」は、全く知らない人の場合にはなれなれしさを感じさせる。自分がどこの誰かをきちんと伝えるとともに、「お願いします」よりも「いらっしゃいますか?」と丁寧に言う。
良
→
「三沢商事の高木と申します。松本さんは、いらっしゃいますか?」
2.
(発信)(相手が不在で)伝えてくれますか(伝えてもらえますか)
⇒
「
お伝えくださいますか
」
「伝えていただけますか」「お伝えいただけますか」など丁寧にいう。もしくは以下のように。
良
→
「伝言をお願いしたいのですが」
3.
(発信)(伝言を頼んだので、相手の名前を確認します) おたくの名前は?
⇒
「どちらさん?」と同じように、つっけんどんな聞き方。
良
→
「失礼ですが、どちらさまでいらっしゃいますか」
4.
(発信) 何時ごろが都合がよいですか。
⇒
先方(顧客)の「都合」なので、「ご」をつける。また、「よいですか」も丁寧に言う。
良
→
「何時ごろがご都合がよろしいでしょうか」
5.
(着信) 申し訳ありませんが、お声が小さくて聞き取れません。
⇒
聞こえにくいのを、「声が小さい」と相手の責任にしている。
良
→
「申し訳ございません。お電話が少々遠いようですが」
6.
(着信) 部長は席をはずしております。
⇒
この場合は「部長」ではなく名前で「横田は」とか「部長の横田は」という表現にすべきである。
良
→
「部長の横田はただいま席をはずしております」
7.
(着信) 参られる時は、お電話ください。
⇒
「参る」は謙譲語。「れる」をつけても尊敬語にならない。
良
→
「お越しになる(いらっしゃる)時は、(ご面倒でも)お電話ください」
8.
(着信) 今日はお休みをいただいております。
⇒
「お」はつけない。「休ませて」を用いる。
良
→
「申し訳ございません。本日は休ませていただいております」
9.
(外出中の部長あてに電話が入ったが、部長の戻り時間はわからない場合
申し訳ございませんが、(戻り時間は)伺っておりませんのでわかりません。 )
「伺う」は「聞く」の謙譲語。この言い方では身内に対する尊敬表現になっている。
良
→
「申し訳ございません。戻りの時間はわかりかねますが
…
」
10.
(着信)課長が「明日連絡する」と伝えるようにとおっしゃいました。
⇒
課長の言葉をそのまま伝えるのではなく、敬語に翻訳する。「おっしゃった」は尊敬語なので、この場合は不適切。
良
→
「課長の山田が明日ご連絡を差し上げると申しておりました」
11.
(着信)すぐ、とりに行きます。
⇒
「とりに行きます」では先方(顧客)に対して謙譲や尊敬の気持ちが伝わらない。「すぐ受け取りに参ります」「ただいまいただきにあがります」でもよいが、少々クドい。
良
→
「ただいまうかがいます」
12.
(着信)(奥様に)松本はただいま席をはずしています。
⇒
奥様は松本さんの身内なので「さん」をつけ、「~していらっしゃいます」と尊敬表現にする。
良
→
「松本さんは、ただいま席をはずしていらっしゃいます」
接客
1.
(社内の) どなたをお呼びしましょうか。
⇒
自分側の人に尊敬表現「どなた」を使っている。
良
→
「だれをお呼びしましょうか」
2.
ただいま部長が見えますので、お待ちください。
⇒
「見える」は「来る」の尊敬語。社内の人間に対しては使わない。上司であっても対外的には「来る」の謙譲語「参る」を使う。
良
→
「ただいま部長が参りますので、少々お待ちください」
3.
部長が、そうおっしゃっていました。
⇒
「おっしゃる」は「言う」の尊敬語。外部(顧客)との対話で身内に対する尊敬表現はおかしい。「そう」も丁寧に「そのように」とする。
良
→
「部長がそのように申しておりました」
4.
課長がご説明になります。
⇒
「ご説明になります」は尊敬語なので誤り。自分の上司のことであっても、お客様の前では謙譲語を使う。
良
→
「
××
の件につきまして、中村がご説明申し上げます」
5.
資料は、担当のものからいただいてください。
⇒
「いただく」は「もらう」の謙譲語。来客には、表現を変えて尊敬語にする。
良
→
「資料は(お手数ですが)担当のものからお受け取りください」
6.
足下にご注意してください。
⇒
「ご~してください」は、「ご~する」の謙譲語に「ください」がついた形だが、これは誤り。また、相手の足下なので「お」をつける。
良
→
「お足下にご注意ください」
7.
うちの会社においでになったのは、初めてですか。
⇒
来客に対しては謙虚さを示し、「私ども」と範囲を広げて言うのが正しい表現。「~でいらっしゃいますか」と丁寧な尊敬表現をすればさらによい。
良
→
「私どもの会社においでになったのは、初めてでいらっしゃいますか」
8.
失礼ですが、住所はどこですか。
⇒
取引先に尋ねるので「ご」をつけ、「どちらでいらっしゃいますか」と丁寧に言う。
良
→
「失礼ですが、ご住所はどちらでいらっしゃいますか」
9.
わかりました。他にありませんか。
⇒
敬語を使って同意するときは「わかりました」ではなく、「かしこまりました」や「承知いたしました」を使う。また、「ありませんか」より「ございませんか」と丁寧に言う。
良
→
「かしこまりました。他になにかございませんか」
10.
なるべく早くお召し上がりになってください。
⇒
お+尊敬語+になる、と尊敬語が重なっているので省く。
良
→
「なるべく早く召し上がってください」
11.
こちらでお召し上がりになられますか?
⇒
この文には
食べる、飲むの尊敬語「召す」
食べるの尊敬語「あがる」
尊敬表現の「お(ご)~になる」
尊敬の助動詞「れる」が含まれていて、過剰敬語になっている。
良
→
「こちらで召し上がりますか
?
」
12.
コーヒー、紅茶、どちらにいたしますか?
⇒
「いたす」は「する」の謙譲語。飲み物を選ぶのは相手なので、尊敬表現を使う。
良
→
「コーヒー、紅茶、どちらになさいますか?」
13.
そちらの山田部長によろしく申し上げてください。
⇒
相手の行為に謙譲語「申し上げる」を使っているので、間違い。
良
→
「そちらの山田部長(さん)にどうぞよろしくお伝えください」
14.
お名前は、これでいいでしょうか。
⇒
「お名前」「でしょう」で丁寧な表現をしているが、「いい」に敬意が払われていない。
良
→
「お名前は、こちらでよろしいでしょうか」
15.
本日はどうもご苦労さまでございました。
⇒
「ご苦労様」は上から下へ、あるいは同位の人に労をねぎらう言葉なので、「ご苦労」の下に「さま」をつけても間違い。
良→「本日は大変お疲れ様でございました」
社内
1.
課長、お客様を連れてきました。
⇒
お客様の面前ではもちろんのこと、たとえ相手に聞こえていなくても敬語を使う。
良
→
「課長、お客様をご案内して参りました(お連れいたしました)」
2.
(上司に)この書類は、
○○
会社のどなたに渡すのですか。
⇒
顧客に対しては、敬称の「さん」をつける。「渡す」も「お」をつけて丁寧に。
良
→
「この書類は、
○○
会社さんのどなたにお渡しするのでしょうか」
3.
(企画書を提出するとき) よければ見てもらいたいのですが
…
。
⇒
「よければ」を丁寧に。「見る」は「ご覧」と尊敬語に。「もらいたい」も謙譲語を使って「いただきたい」と丁寧に言う。
良
→
「よろしければご覧いただけますか
…
」
4.
この方法について部長の考えを聞かせてもらえませんか。
⇒
教えを乞う気持ちを言葉に表すのがポイント。「考え」を「お」をつけて丁寧に。「もらう」も尊敬表現に変える。
良
→
「この方法について部長のお考えをお聞かせ願えませんか」
5.
部長、田中常務が呼んでいます。
⇒
会話の相手と第三者が上位者の場合、それぞれへの敬意をこめた表現を使う。この場合、「
○○
でいます」より「
○○
でございます」を使うと、目の前の部長を敬っている表現になる。
良
→
「部長、田中常務がお呼びでございます」
6.
(上司に)そろそろ参りましょうか。
⇒
目上の人を含んだ行動に謙譲語の「参る」を使うのはおかしい。自分は付いていくのだから、主導権のある相手の行動を促す形がよい。
良
→
「そろそろお出かけになりませんか」
7.
(贈り物をした会社の上司からお礼を言われたとき)気に入ってもらえたでしょうか。
⇒
「気に入って」を尊敬語の「お気に召して」に変え、「もらう」は謙譲語の「いただく」にする。
良
→
「お気に召していただけましたでしょうか」
8.
(課長に)課長、
○○
商事から電話です。
⇒
電話で聞こえないからといって、先方(顧客)の名前に敬称「さん」をつけないのは失礼。また、相手からの電話なので、「お」をつける。
良
→
「課長、
○○
商事さんからお電話です」
9.
(来客で)加藤さん、吉田さんという方が来ています。
⇒
敬意は話題になっている人物にも影響があるので、丁寧な表現にする。また、「という方」はあいまいな表現で失礼になる。相手は所属と名前を申し出ているはずなので、はっきり伝える。
良
→
「加藤さん、
○○
銀行の吉田さんがお見えです(おいでです)」
10.
明日はお休みしたいのですが。
⇒
「お」は相手の言動や所有物について敬意を表す接頭語。自分の行為につけるのはおかしい。
良
→
「明日は休ませていただきたいのですが」
11.
部長はお電話でご出張のご相談をなさっていらっしゃいます。
⇒
敬語をいくつも重ねて過剰にするのは、聞いていても煩わしいもの。「お」や「ご」を抜いても、終りに「なさっています」と尊敬の表現にすれば、全体が敬語表現になる。
良
→
「部長は電話で出張の相談をなさっています」
12.
お客様がおいでになられました。
⇒
「お~になる」に「れる」「られる」を加えると二重敬語になって、聞きづらい。すっきりと表現することも大切。
良
→
「お客様がおいでになりました」