2014年の冬季五輪はロシアのソチで開かれることに決まった。大混戦といわれた招致争いの最後で笑ったのは、自信満々のプーチン大統領だった。
冬季競技に輝かしい伝統を持つ国とはいえ、黒海に面した温暖なソチはスキーやスケートと縁が深いわけではない。
保養地としての開発に1兆5000億円ともいわれる巨費を投じ、国家を挙げた支援を打ち出したのがプーチン大統領だ。ソ連崩壊後の大国再建を掲げる大統領の意気込みが、五輪を呼び込んだといえる。選んだ国際オリンピック委員会(IOC)も選ばれた方も責任は重い。
夏と冬の違いはあるが、この国にとっては1980年のモスクワ五輪以来、2度目の開催となる。
モスクワ五輪は、当時のソ連のアフガニスタン侵攻を理由に、米国や日本など多くの西側諸国が参加を拒んだ。この東西冷戦を象徴する苦い記憶をぬぐう機会がロシアに訪れることになる。
最近のプーチン政権は、国の内外に対し強権ぶりが目立つ。世界中から選手や観客を迎え入れるのだから、世界から親しまれる国に変わらねばなるまい。
1回目の投票で1位だったのは、韓国の平昌だ。IOCの現地調査でも、評価が最も高かった。逆転されたのは、1回目で3位だったオーストリア・ザルツブルクの票が、決選投票で同じ欧州のソチに流れたことが大きい。
冬季競技をアジアに広げたいという韓国の訴えが届かなかったのは残念だ。
数多くの国際大会を運営してきた実績を生かし、いまある施設を使って経費の大幅削減を打ち出したザルツブルクが完敗したのは意外だった。06年のトリノ五輪は赤字だった。IOCにスリム化の意識が薄まっているのなら心配だ。
雪と氷を舞台にする冬季五輪は、地球温暖化に直面している。平昌は人工雪でスキー会場を整備することになっていたが、環境問題の議論は乏しかった。
ザルツブルクの完敗は、ロシアや韓国のように多額の運動資金をつぎ込まなければ、競争にならない現実も見せつけた。このまま招致運動が過熱すれば、再び買収まがいの不正行為が横行しかねまい。IOCに課題がいくつも突きつけられた開催地選びだったともいえる。
ソチに決まったことは、16年夏の五輪を招致しようという東京とすれば、ほっとした面があるだろう。
08年夏の北京、14年冬の平昌と続けば、2年後に同じアジアの東京が選ばれる可能性はまずない。日本オリンピック委員会は平昌支援を口にはしていたが、実際に動いた様子は見えなかった。
しかし、隣国の不運を喜んでいるようではいけない。少なくとも、ソチや平昌には国民の熱い支持があった。東京にはそんな雰囲気はない。
都民や国民の共感を呼ぶ理念と計画づくりに手をこまぬいている現状では、最終選考に残るのも危ういだろう。
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posted @ 2007-07-09 13:31
月宮 秀樹 阅读(108)
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