随笔- 78  文章- 47  评论- 197 

3.人間関係をよくすることばづかい
    相手に対する敬意が自然に表出されるものとしての礼儀、相手を不愉快にしないような配慮としてのエチケット、そして、それが形をともない現象として外へ表現されるマナーや行儀、作法は、対人関係をスムーズにするうえで欠かせない潤滑油のようなものです。その役割を果たすものが話し方、聴き方、また黙り方、そしてその媒体になるのが敬語であり、ことばづかいであり、話し方、聴き方だと言っていいでしょう。

(1)話すことによって心的変化をもたらす
    私たちがひとこと、ことばを発すると、相手になんらかの心理的、生理的な影響を与えます。人はほめことばや価値を認めてくれることばに出会うと自信を得たり、うれしくなったりします。ところが怒られたり、自尊心を傷つける否定的なことばに出会うと落ちこんだり、反撃したくなるものです。
    もっと極端な場合は、ひとことが運命的なことばになってその人の人生を大きく変えることにもなります。このような状況を、心的変化と私は名づけています。
    多くの人の才能は、称賛されることによって開花し、あら探しにあったら枯れてしまうという性質をもっています。ことばはまことに不思議な魔力をもっているものです。その結果、お互いの人間関係を変えてしまうことを、私たちは日常生活の中で痛いほど実感しているはずです。
    この波紋を好ましいものにするにはどうしたらよいかを、真剣に考えなければなりません。話した結果、「なんて感じのよい人だろう」となったり、「この野郎、ふざけるな」となったりします。つまり、話すことが、もっと言えば黙ることが、相手の心理や生理をプラスにもマイナスにもするということです。

(2)話すことによって人間関係が変わる
    刃物で切った肉体の傷からは血が出るので、すぐそれとわかりますが、ことばによって斬った心の傷からは血が出ないので、案外傷つけたことを見逃してしまうものです。その結果、人間関係に悪い影響を与えてしまいます。「刃物は肉を切り、ことばは心を斬る」ということをいつも肝に銘じておくべきです。
    話し上手というのは、この変化をプラスにするような話し手のことです。心的変化によって、話し手と聞き手との人間関係がいろいろと変わっていくということになると、話した結果が心的変化をマイナスにし、対立する場合もあるということです。話したことによって喧嘩が始まるようだったら、最初から話さなかったほうがよかったということになります。黙もまた積極的な語りであると言ってよいでしょう。
    こう言うと、「話すことはそんなに難しいんでしたら、私は話が下手ですから、黙っています」と言う人がいます。これもまずい。思いも表現しなければ通じないからです。言うべきときに黙っていても、相手の心的変化をマイナスにしてしまうからです。言うべきときには言わなければなりません。
    話すときに大事なことは、
    必要なときに
    必要なことを
    必要なだけ

    そして、
    必要な方法で
    ということです。これを私は「必要の原則」と呼んでいます。
    ことばを発するとき、私たちは「歯から外へ出たことばを消す薬はない」ということを銘記すべきでしょう。釘を板に打ってしまってから、ここじゃなかったと、それを抜いて別な所に打ちかえましても、釘あとは永遠に残るのです。話によって受けた傷あともこれと同じことが言えます。その古傷はいつまでもうずくものです。
    ところで、職場での仕事というのは、物理的な作業と対人関係の処理だと言ってよいでしょう。分業化のすすんでいる今日では、物理的な作業にしましても、どこかでほかの人とつながっているわけです。純粋に書類を処理するとか、何かをつくる工作的な作業だけというのは極めてまれなことで、限られた特殊なものでしかありません。

(3)話し方は人間関係によって変わる
    「話すことが相手の心的変化をもたらし、その結果、人間関係が変わる、と言うのだったら、、話し方はバカ丁寧にするのですか」と言う人がいます。必ずしも、そうとばかりは言えません。
    ぶっきらぼうな話し方でも、仲間同士で親しい人だったら気にしないで受けとめられることもあります。人間関係が深ければ、そうあらたまらなくてもよいこともあります。しかし、ことと次第によっては、友人であってもあらたまった話し方が必要な場合もあります。学生時代のクラスメイトでも、ビジネスの客になったときは、クラス会のときのように無礼講と言うわけにはいきません。そのような意味で、人間関係というのは固定的にとらえると間違うことがあります。人間関係は複雑ですから、立場、役割、状況など、さまざまな条件の変化に応じて、応用問題を解く必要にせまられることがあります。初対面の人や上位の人と話すときは、当然のことですが、それに見合ったことばで、あらたまった話し方をしなければなりません。これを「仲間ことば」と対比して「広場のことば」と言っている人もいます。話し方は相手との人間関係、つまり、人間の感情に応じた対応がなければなりません。
    また組織では、社会関係によって話し方が変わります。社会関係を考えるということは、組織の中で自己の立場に応じた対応や表現を考えるということでもあります。同期の入社でも、相手が上位のランクになれば、当然話し方を変えなければなりません。後輩や下位の人であっても、年齢の上の人に対する話し方は、年下の人と話すのとは違ってきます。特に、日本人の価値観には、年齢が大きく影響してくるからです。
    夫婦の話し方の変化を、時間の経過にしたがって考えてみると、このことはよくわかります。多くの人は最初出会ったとき、あかの他人であったはずですから、恐らくその中の大部分の人は丁寧な話し方をされたに違いありません。「はじめまして」とか「だれだれと申します。どうぞよろしく」などと、お互いに丁寧なことばをかわし合ったのでしょう。この話し方が恋人になり、夫婦になるにしたがって変わってきたはずです。話し方は人間関係の中で変わるからです。
    理想的に言えば、どんなことばでも傷つかない信頼関係をふだんからつくっておくことが重要だ、ということにもなります。

(4)話の効果は人間関係によって変わる
    同じことばでありましても、好きな人から言われたことと、嫌いな人から言われたこととでは、その反応は違います。好きな人から、「頼むことがあるんですが」と言われると、「やりますよ、なんですか」となります。ところが、嫌いな人から、「頼むことがあるんですが」と言われると、「何があるんですか、私もこれから忙しくなるんですが」などと予防線をはることになりそうです。このことはみなさんの日常生活をふり返ってみたらすぐわかることです。私たちは同じものでも、好きな店から買います。極端な言い方をすると、話の効果はさまざまな人間関係によって変わる、と言ってもいいでしょう。
    この本で取りあげる「ことばづかい」は、ほかの条件を固定して、一般的にはこのような意味で使われていると考えていただいたらよいでしょう。例外もありますから……。
    話すことはいろいろな波紋を起こしますが、その場にいる人たちだけでなく、その影響は周辺にも広がっていくものです。話力は旅をするのです。


    話すことと人間関係、話の効果は深く結びついているのです。これらの関係をまとめると、次のようになります。
    ★話すことによって心的変化をもたらし、その結果、相手との人間関係が変わる
    ★話し方、話すことは、人間関係の中で変わる
    ★人間関係によって話の効果は変わる


    この三つは平面的に循環するのではなく、螺旋状でより望ましい状態、プラスの方向にだんだん上っていくようにすべきだと、私は考えているのです。
    そう考えてみると、話の中核をなすことばづかいが、大きな意味をもつものだということがおわかりになるはずです。あなたがもし入社のときの面接試験に失敗していたら、今の立場はなかったはずです。大げさに聴こえるかもしれませんが、ことばづかい、話し方は、お互いの人生を変えるということになるのです。そうなると、人間はことば、話によって、自らの人生をデザインしていると言ってもいいでしょう。


posted on 2008-07-09 10:59 playzero 阅读(39) 评论(0)  编辑  收藏 网摘收藏

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