このノートに名前を書かれた人間は......死ぬ?
お願い、やめて。
さあ、どうなる。デスノート、本物だ。
デスノートを使った人間が天国や地獄に行けると思うな。
世の中に知らしめるんだ、僕の存在を。正義の裁きを下すものがいるってことを。そして、僕は、新世界の神となる。
何考えていたのか全然分かんないから、もう見切った。
まじで?
で、あの後の親父と、あれからどうなった。
では、夜神君、今の文章を和訳してください。
はい、ついに夢を現実のものとした彼は、その夢の完全なる情緒とそれによる至福の喜びに浸っている。
よくできました、さすがは夜神君。
カンペキな解答ですね。それじゃ今日はここまでにします。
帰りどうする?
やっと終わりか?退屈だな、学校ってところも......おい、ライト。
ライト、聞いているのか?
話しかけるな。僕の声はリュウクと違って、ほかの人にも聞こえるんだ。
つまんねいな。
おい、ライト、これから俺たち......
悪い、用があるんだ。
用なんてないだろう、いつもどおり真っ直ぐ家に帰るだけじゃないのか。
何を言ってるんだ、用はあるよ。そう、とても大事な用事がね。
山田容疑者は昨日新宿区歌舞伎町の飲食店で、店にあった刃渡りおよそ十二センチのナイフを使い、こうはい従業員の下腹部を刺した疑いを持たれています。
おい、おい、ライト。
何だ?
ずいぶん一生懸命だな。
時間を無駄にできないからね。ノートに名前を書ける時間は限られている。学校から帰ってきて寝るまでくらいだ。成績も今までどおりトップであることも大切だ。授業中に居眠りもできないし、家や塾での勉強もしっかりやっておかないとね。そして睡眠不足もできらん、健康や思考力も損なう、何しろ、世の中を悪のない理想な世界に変えるんだ。時間は幾らあっても足りない。
あれ、お兄ちゃん、何で鍵なんか閉めてるの?
サユウか?
何?
宿題教えて。
あ、いいよ。
数学の二次函数です。勉強をしているとこ(ろ)を、ごめんね。でも、もうちんぷんかんぷんなの、お願いします。
はいはい。
気をつけろよ、ライト。
今引き出しの中のノートに触った人間にはオレの姿が見える。
そういう大切なことを今頃、この死神は......
どうしたの、お兄ちゃん?
いや、それで?一体何が分からないんだ?
ええとね、全部かな。
この一週間で分かっているだけで五十二人。
そのすべてが心臓麻痺だ。
すべて手配中の若しくは刑務所に留置されていた犯罪者たちです。死んだことが確認されていない犯罪者たちもいるでしょうな。
そうなると、軽く百人以上か。
もう始まっていますよ、局長。
あ、ちょっと本部から連絡がな。
しかし、何れも死刑になっても仕方のない犯罪者ばかりだ。
別にかまわないのでは......
バカな、大犯罪者だろうと、死刑囚だろうと、殺せば殺人です。
殺人と決まったわけではないでしょう。
百人以上が心臓麻痺なんて偶然があるか?殺人に決まっている。
そんな広範囲で同時と言ってもいい殺人が可能ですかね?
われわれは大組織による緻密な計画殺人と見ています。
そんな大組織などと言ったら、FBIかCIAなんか絡んでいるとしか思えませんな。
もう一度言ってみたまえ。
まあまあ、冗談は慎んでください。まずはこれが殺人なのか偶然なのか、その解明でしょう。
しかし、検死の報告では皆原因の分からない心臓麻痺でしょう。
心臓麻痺って死因から洗ったのでは何も出ませんからね。
まったくだ。ナイフでも刺さっていれば洗いを思わぬな。
こうなったらまたLに解決してもらうしかありませんな。
局長、何です、Lって?
まあ、君はこの会議に初めてだったな。Lというのは名前も居場所も顔すら誰も知らない、しかし、どんな難事件でも必ず解決してしまう、世界の迷宮入れ事件の数々を解いてきたこの世界の陰のトップ、最後の切り札、そんなところだ。
しかし、Lは自分の興味を持った事件にしか動かない傲慢な人物というじゃないか。
そのとおりだ。
それに、われわれからはコンタクトも取れない。
Lはもう動いています。
Lはすでにこの事件の捜査を始めています。
あ、渡。
エ、渡?
Lとコンタクトを取れる唯一の男だ。もっとも、渡の正体も誰も知らない。
お静かに願います。Lのこえを今お聞かせします。
ICPOの皆様、Lです。
こんな人気のない所で何をこそこそしているんだ、ライト?
デスノートに触った人間にはリュウクの姿が見えるんだろう?こんな危険なものを普通に持ってなんていられない。今までは仮にノートを家族に見られても、検事になるための勉強として事件の記録をとっていたってすむくらいに思っていたけど、僕はギリギリの綱渡りをしているんだ。下手を打てば僕は自分の家族を殺すことになってしまう。
この事件は嘗てない希望で難しい。そして、絶対に赦してはならない凶悪な殺人事件です。この事件を解決するため、ぜひICPOの皆様、いえ、全世界のあらゆる機関は私に全面協力してくださることをこの会議で決議していただきたい、そして、特に日本警察の協力を強く要請します。
え、な、なぜ日本なんだ?
犯人は複数であれ、単独であれ、日本人である可能性は極めて高い。日本人ではないんですより日本に潜伏している。
何を根拠に?
なぜ日本なのか?それは近々犯人との直接対決でお見せできると思います。
直接対決?
とにかく、捜査本部は日本においていただきたい。
割と簡単にできたな。
ん?ノートを隠せたってことか?
あ、この引き出しの中にね。
それで、隠したことになるのか?鍵付けっぱなしだぞ。
それでいいんだ。むしろ鍵はわざと目立つところに置いたほうがいい。
ただの日記帳じゃないか。
多分ほとんどの人間はこの単なる日記帳を読むことでこの引き出しの秘密に満足する。でも、本当の鍵は、こっち、僕の机の周辺のどこに転がっていても不思議じゃない、ただのボールペンだ。その芯を使う。
それが鍵なのか?
そう、引き出しの裏によく見ないと分からない小さな穴がある、その穴にこれを入れるんだ。
なるほど、二重底か?まあ、日記のフェークもあるし、それなら見つからないだろう。
それだけじゃない。
ん?
たとえ二重底だと分かったとしても、こうしてノートを手に取ることは先ずできない。分かる?この電気を通さないボールペンの芯が絶縁体となり、電流を塞き止めている。中底を閉めた時にはこのゴムが絶縁となり、電流は流れない。しかし、もし誰かが強引に中底を外せば、その瞬間、薄いビニールに入ったガソリンに火が着き、ノートは一気に燃え上がる、完全に証拠は隠滅される、という仕掛だ。燃やした理由は本当の日記を隠していて、見られたくなかったからと言う、一番人間らしい理由でまあ通る、ものがノートだしね。
デスノートを人間が持った時、その隠し場所に一番困るという話は聞いていたが、ここまでやったのは、ライト、多分お前が初めてだ。それにしても、危険な細工だな。少し手順を間違いただけで、自分が大火傷するぞ。
危険?また変なことを言うね、リュウク。僕は最初から危険冒しているじゃないか。デスノートを手にした時点でね。それに比べたら、こんなものは危険の内に入らない。むしろ逆に僕を安全にするんだ。家から小火が出るなどと死刑になるのは、とっちがいいか、さ?
昨夜、東京都西刑務所の所内で凶悪強盗犯として収容されていた黒塚山直樹受刑者、三十二歳が、突然心臓麻痺で死亡しました。立て続けに受刑者が心臓麻痺で亡くなると言う異例の事態におけ......
すごいよなあ。悪人がパンパン死......
ちょっと怖いけど、ある意味爽快だよね。
でも、こうなると、悪いこと(は)できないね。
やっぱ、警察はやったのかな。
警察にそんな力(は)ないって。
お前、知らないの?
何だ?
キラだよ、キラ。
次は誰か殺されるのかな。
見て見ろよ、リュウク。
もうこんなホームページまでできているんだ。
救世主キラ伝説、格好いいじゃないか、これお前のことか?
あ、殺し屋という意味の「killer」からきているらしい。それは少し気に入らないが、僕はもう世界的にこのキラになっている。キラと検索するだけですでに此の点のページが五万とあるんだ。まだ新聞やテレビでは凶悪犯罪者の相継ぐ変死くらいしか公表されていない。しかし、世界中の人間がもう感じているんだ、正義の裁きをするものの存在を。
ほ?
人間っていうのはそんな生き物なんだ、リュウク。
え?
例えば、学校のホームルームで悪い人間を殺して良いかなんて議題が挙がるわけがない。しかし、若しそれが議題となったら、皆がいい子振りに......「それは、いけないことです。」って言うに決まっている。勿論、そう答えるのが正しいし、人間は公共の場などでは、表面上そうでなくてはならない、しかし、本音はこっちだ。怖いのか?表立って僕の存在を認めようとはしないけれど、誰が書いたかも分からないインターネット上ではもうキラが蔓延している。口に出さないんだけで、もう皆分かっているんだ。悪いやつが誰かに消されていると。そして、自分に非のないものは心の中で、「キラ、がんばれ」と叫び、非のあるものは自分に天罰が下ることに怯える。これで良いんだ。まさに計画通りにことは進んでいる。
え、番組の途中ですが、ICPO、インターポールからの全世界同時特別生中継を行います。
ん、何だ?
インターポール。
それでは始めます。
私は全世界の警察を動かせる唯一の人間―リンド?エル?テーラ、通称Lです。
な、なんだ、こいつ。
ついに始まったな。
しかし、今まで顔を出さなかったんですよね。どうして今になって。
Lも本気ってことだ。
さあ、L、こっちは言われたとおりにやっているんだ。ICPO会議で言ったことを証明してもらおう。
あいつが犯罪者を狙った連続殺人、これは絶対に赦してはならない史上最大の凶悪犯罪です。因って私はこの犯罪の主謀者、俗に言われるキラを、必ず捕まえる。
必ず捕まえるってよ。
へん、馬鹿め、捕まるわけがない。デスノート何だよ。このノートを押さえない限り、証拠なんて何も残らないんだ。捕まえるなんて、絶対不可能だ。警察が動くのも、こんなのが出てくるのも、計画のうちさ。
キラ、お前がどのような考えでこのようなことをしているのか、だいたい想像はつく。しかし、お前のしていることは悪だ。
僕が悪だと?僕は正義だ。弱いものを救い、誰もが理想とする新世界の神となる男だ。そしてその神に逆らうもの、それこそが悪だ。
間抜けすぎるぜ、L、もう少し賢ければ、面白くなったかもしれないのに。
僕に逆らうと、どうなるか?世界中が注目しているよ、L。
後五秒。四、三、二、一。
ハハハハハ......どうした?何とか言って見ろ。ハハハハハ......ヘン~~
信じられない。若しだと思って試してみたが、まさかこんなことが......キラ、お前は直接手を下さずに人を殺せるのか。この目で見るまではとても信じられなかった。よく聞け、キラ、若しお前がテレビに映っていたリンド?エル?テーラを殺したのなら、それは今日この時間に死刑になる予定だった男だ、私ではない。
何?
テレビやネットでは報道されていない警察が極秘に捕まえた犯罪者だ。さすがのお前もこんな犯罪者の情報は手に入れていないようだな。
やられたな。
だが、Lという私は実在する。さあ、私を殺してみろ。
こ、こいつ。
あ、どうしだ、早くやってみろ。さあ、殺してみろ。
何だ、これは、すごいことになっているぞ。死ぬ気か?
何、これ?
私を殺してみろ、どうした、できないのか?
どうやら、私を殺せないようだな。
殺せない人間もいる。いいヒントをもらった。
お返し言ってはなんだが、もう一ついいことを教えてやろう。この中継は全世界同時中継と銘打ったが、実は日本の関東地区にしか放送されていない。時間差で各地区に流す予定があったが、もうその必要もなくなった。お前は、今、関東にいる。
は、やるな、Lのやつ。
小さな事件で警察は見逃していたが、この一連の事件の最初の犠牲者は新宿の通り魔だ。大犯罪者の心臓麻痺で死んでいく中、この通り魔の罪は目立たない。しかも、この事件は日本でしか報道されていなかった。これだけで、十分推理できた。お前が日本にいることを、そしてこの犠牲者第一号はお前の殺しのモルモットだったということだ。人口の集中する関東に最初に中継し、そこにお前がいたのはラッキーだった。ここまで自分の思惑どおりに行くと正直思っていなかったが、キラ、お前を死刑台に送るのはそう遠くないかもしれない。
やっぱり、さすがですね、Lって。
ん、キラの存在、殺人、そして日本にいることまでも証明した。
キラ、お前がどんな手段で殺人を行っているのか、とても興味がある。しかし、そんなことはお前を捕まえれば分かることだ。では、また会おう、キラ。
僕を死刑台に送るだと、面白い、受けてでたじゃないか。
お互いに顔も名前もすべてが分からない相手を見つけ出す、そして見つかったほうが死ぬ、やっぱり人間って面白い。
L、
キラ、
必ずお前を捜し出して、始末する。
僕が
私が
正義だ。
<続く>
posted @ 2008-11-24 04:51
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