いとこの妹のことを思い出した。中学時代と高校時代は勉強に没頭し、身だしなみ
に感心せず、常にめがね掛けるイモ人形のようなごく普通で目立たない子だった。しかし高校卒業して大学に入る時点で急に生まれ変わるように綺麗になった。日ごろ勉強をがんばってるかいがあって名門大学に入ることができ、そして高校卒業する夏休みに、ネットで3年間もチャットし続ける男の住む町にでかけて、現実での恋人になったことで、彼女を一新させたのじゃないかと、わたしは思う。とにかく髪型も着こなしもメークも、最先端ファッションそのものと呼んでもいいくらい、彼女の変身ぶりをみて驚かない人はいない。大体日ごろからファッションに見向きもせず生きてきた人間は、ある日突然トップファッションクラスに入ろうとすると殆どうはまくいかないのだ。やみくもに雑誌の下手真似をするばかりで、結局出来上がったものはファッションどころか滑稽しかなにもならない。でも彼女は違った。かなり短時間の中ですべてのコツを飲み込んだし、そして自分なりの風格もきちんと出来ている。勉強の得意な人だから頭もきっといいだろうから、
何でも速く覚えられてそして自分のものに変えた。例えそれはファッションという時間かけてしっかり勉強しないと把握できないものでも。
そんな彼女を見てわたしはうらやましくてたまらなかった。何を言ってもその当時のわたしは(今もあんまりかわっていないけど)性格が暗かったし、着るもんもさんざんひどかった。トップ美人に変身した彼女の微笑みはあんまりに輝きすぎて、、その完璧の微笑みにされた時はいつもモグラになりたくなる。女の特権って美しくなることと、誰かがいった。だから彼女は謙虚な心もちで地道に女を磨いていく。彼女と列車で同行したことがあった。26時間以上の寝台列車にもかかわらず、パーティーにでも出るような洋服を着てきた。キラキラするアクセサリに包まれる彼女は実に美しかった。みんなの注目をあびるなか、彼女のしゃんとした姿が滑っていった。隣席にすわる灰色なジャージを着ているわたしは、完全にばかになった。旅の途中何人かの男は彼女のところにやってきて軽くおしゃべりをした。そして彼女も親切で微笑み返した。その中、後になってずっと彼女のことを一年以上片思いした男(ひと)さえいた。彼たちの騒がしさで嫉妬と情けなさを交じ入る変な気持ちになったわたしは、頬杖をついて窓の外の暗い風景をずっと見つめていただけだった。
彼女もけっこう男からお金をもらっていて、高級服や化粧品にぶつける。それはそれで何よりもフャッションの基本になる。昔ならわたしはきっとそういう男のお金を使う女のことを軽蔑するだろう、でも光にあふれる彼女を見て、初めてこれはどれだけの幸せなのかを気づいた。それでそんなふうに思っている自分のことはどれだけ悲しいと、夜の海に飲み込まれるように、息が詰まりそうに、ため息をついた。
posted on 2008-06-16 10:44
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