調整のためにロボット・センターへ行かせておいたロボットが、帰ってきた。そして、玄関を入り、主人であるエヌ氏に頭を下げて報告した。
「ただいま帰りました。はい、これは調整済みの証明書です」
「よし、これからも、いままでのように働いてくれよ」
エヌ氏はこのロボットを、三ヶ月前に買った。その時についていた説明書には、三ヶ月たったらロボットセンターへやって調整を受けさせるようにと、とくに大きく注意が記されてあった。それに従ったのだ。
なんで調整などする必要があるのかわからないが、べつに拒否するほどの理由もない。たぶん、精巧な仕組みのものなのだから、そのほうがいいのだろう。いままでより、どこかがよくなって帰ってきたにちがいない。
エヌしは、さっそくロボットに命じた。
「おい、紅茶を入れてくれ。ついでにプリンも作ってくれ。なんだか、あまいものが食べたくなった」
「はあ……」ロボットが答えた。どこか、はっきりしない声だ。そして、仕事にとりかかろうともしない。エヌ氏はさらに言った。
「おい、どうしたんだ。紅茶とプリンをたのんでいるんだぞ」
「はあ……」ロボットは、やはり働かない。どうしたのだ。いままでは、命令したとたん、すぐに動きだし、てきぱきと仕事を片付けていたのに。
調整とやらがすんだら、ようすがおかしくなった。それとも、調整してしばらくのあいだは、動きがにぶるものなのだろうか。エヌ氏はあれこれ考えてから、もう一度言ってみた。「さて、しばらくぶりで絵を描こう。その用意をしてくれ、キャンバスや絵具や筆をそろえるのだ」
「はあ……」ロボットはさっきのような、たよりない返事をし、動かない。調子がもどったのかと喜んだのもつかのま、やはりどこかおかしい。
もう一回言ってみたが、動こうともしない。エヌ氏は気が抜けに気分になり、絵を描く気がしなくなった。
ひとつ、思い切り蹴飛ばしてみるか。そう考えたが、思いとどまる。この妙な現象の原因を突き止めるほうが、先決なのだ。このままでは、使いにくいったらありしゃしない。
文句は、ロボットに言ってもしようがない。エヌ氏はロボットセンターへ電話をかけた。「もしもし、こちらは……」エヌ氏は、自分の名とロボットの番号を告げた。電話は、その担当の係りへとつながった。
「どういう、ご用件でしょうか」
「どうもこうもない。そちらで調整されて帰ってきてから、すっかり働きがにぶってしまった。これでは、ぼんやりロボットだ。なにかの、まちがいじゃないのか。もう一回、ちゃんとなおしてもらいたい」
電話の向こうで、かすかな音がした。係りがエヌ氏のロボットに関する記録を、調べているのだろう。やがて答えがあった。
「わかりました。あれでいいのです。カードを照合しましたが、ロボットは正しく調整されており、まちがいはありません。当センターの証明書は、信用のおけるものです。」
「なにが正しいものか。何度も命令しないと、働かないんだぞ」
「それでいいのでございます。そちらでの、いままでのご使用のやり方を、お考えになってみてください」
「というと……」
エヌ氏は係りに指摘され、いままでにロボットをどう使ったかについて思い返してみた。
まず室内の模様替えだ。机や椅子やピアノを動かさせた。あっちへ運べ、いや、やはりこっちがいいと、あれこれ動かさせた。
また、壁紙のはりかえ。そして、どうも派手だからと、べつな色の壁紙にはりかえなおさせた。
あるときは、庭の手入れをやらせた。庭がバラの花でいっぱいなのを想像し、ロボットに苗を植えさせた。
しかし、一週間ほどたつと気が変わり、バラの苗を抜かせ、池を作らせた。池には噴水をつけさせ、金魚を泳がせた。
こういった調子だったのだ。
エヌ氏は電話で係に答えた。
「・・・・・・そう言われてみると、いくらか気まぐれな使い方もありました」
「そこなのです。ロボットのなかには、一種の記録装置が入っています。ある仕事を命じられ、そのあと、やらされたその仕事の結果を打消すような命令をされると、その回数がきろくされるのです」
「ははあ、そんなことになっていたのですか」
「当センターで調べましたところ、そちらの場合、その回数がはなはだ多い。つまり、はっきり申し上げますと、気まぐれで、衝動的で、すぐに気分が変わるのです。これでは、あまりに不経済です。そこで、その性格にあうように、ロボットを調整したのでございます」
「命令してもすぐに動かなくなったのは、そのためか」
「はい、さようでございます。一回の命令では動かないようにしました。三回目になって、初めて動きます。三回目ということは、お考えがかたまって、ぜひやってもらいたい仕事と認めていいといえるからです。こう調整されたため、やってもやらなくてもいい仕事、やらせてすぐに取り消す仕事など、ずいぶんへることでしょう」
「三回繰り返して命令しなければ、ならないわけか」
「はい。衝動的に命令して、思わぬ事態を招くこともなくなりましょう」
係の説明は、しごくもっともだった。しかし、エヌ氏はどうも不満で、ちょっと考えてから言った。「なるほど、事情はわかった。そのほうが、いいのかもしれない。しかし、やはり不便だ。それに、万一緊急事態の時など、三回目の命令でやっと動くロボットでは、たよりなくてしようがない。なんとかんならないものだろうか」
「以前のように即座に動くロボットをお使いになりたいのでしたら、方法はあります」
「ぜひ、それを教えてくれ」
「しばらくのあいだ、人間調整センターにご入院を。軽率なところをなくし、思慮ぶかい性格に調整するのです。その証明書を持って、こちらにおいでになれば、すぐにご希望どおりの・・・・・」
此文章是从日语书中摘抄下来的日语原文。为了自己的阅读能力的提高,我把它翻译成了中文,有不对的地方请指出。谢谢。(不好意思,明天翻译)
posted on 2007-09-09 21:52
zjgdiclxh 阅读(124)
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