ケイ氏はセールスマン。小型の宇宙船にいろいろな商品見本を積み込み、星から星へとまわって注文をとるのが仕事だった。
のんきな仕事とはいえない。星の住民を相手に、品物についてあれこれ説明するのも大変だ。商談がまとまり地球へ通信で報告する時は、ささやかな喜びを味わいはする。しかし、すぐべつな星を目指して、ひとり再び、長く単調な宇宙の旅をしなければならない。
前方に、ひとつの星が見えてきた。
「今度はどうだろう。友好的、景気がよくて、浪費的な住民ばかりの星だとありがたいが・・・・・・」
ケイ氏はつぶやきながら、望遠鏡をそれにむける。近づくにつれ、光景ははっきりとしてきた。都市が見える。優美な曲線で構成された都市で、上品な文明を持つ住民いる星のように思われた。
ケイ氏はうれしげに着陸に移った。もちろん、警戒はしていた。宇宙船にむけてなんらかの攻撃がなされた場合、ただちに上昇して逃げる装置もそなえてあるのだ。だが、それを使うこともなく、街はずれにぶじ着陸を終えた。
むこうから、何人かの住民がやってきて、声をかけた。ケイ氏は小型翻訳機を調整していたが、やがてダイヤルが合った。彼は挨拶をした。
「はじめて、お目にかかります。わたくしは、地球ではいろいろな品物を作っております。こちらさまで、なにかお買いいただけるとありがたいのですが・・・・・・」
住民は答えた。「なるほど、商売にいらっしゃったというわけですな。さあ、どうぞこちらへ。お疲れでしょう。まず、おもてなしを、致しましょう。商談はそれからということにして・・・・・・」
親切な態度だった。なにかたくらみを秘めてのものではなく、心かららしい。ケイ氏はさまざまな星をめぐっており、その見わけぐらいはつく。いい星に来たものだ。きっと大きな取引ができるにちがいない。
彼は案内されて、ホテルらしき建物に入った。ひと休みし終わったころ、住民のひとりがやってきた。
「私が商業の役所の長官です。こんな星にまで、わざわざおいでいただき、ありがとうございます」丁寧な口調だった。
「いえいえ、こちらも商売ですから。さっそくですが、用件のほうに移りましょう。ええと・・・・・・」
さて、なにを売りこんだものかとあたりを見回し、ケイ氏は口をつぐんだ。適当な商品が頭に浮かばないのだ。着陸してからいままで、周囲を注意ぶかく観察してきたのだが、あらゆる面で、文明の水準が地球より少しだけ高い。ということは、製品はなんでも存在し、いずれも地球より少し進んでいて、少し高級な状態なのだ。
posted on 2007-09-19 17:05
zjgdiclxh 阅读(63)
评论(0) 编辑 收藏